ムーミンの本は大人になってから読んだ方が効く。『ムーミン谷の11月』はまさにこの時期に読むのにぴったりかと思われる。ムーミン谷〜の登場人物はみんなどこかおかしいところがあって、それがまた愛おしい。私なんて欠陥だらけもいいとこだけれど、でもそれで生きていくしかないんだし。と思わせる、はなしがたくさんつまっている。
あと、この時期はゴイステの「夜王子と月の姫」をエンドレスで聴いていた過去がいやおうなしに引っ張り出されて苦しい。いや苦しさだけじゃなく、甘さも混じりあって、また途方もない感情が呼び起こされる。5年も前の話。みんな変わって、日々も過ぎてゆき、自身も立ち止まることなんてないのだけど、気持ちだけはあの時から少しも動いていないことに愕然となる。玉手箱開けて時だけが経ってしまったかのような錯覚に陥る。一生を背負うだけの覚悟はあるのかいと最近自分に問うことが多くなった。恐らくどんな人に出会っても「あれ」と比べてしまい、「あれ」以上なんてないのだと結論を出すのだろう。だったら適当なとこで手を打つよりもこっちの方がよっぽどいい。
ただ気にかかるのは、仕事にかこつけて、ずっと実家に帰っていないこと。親を心配させている後ろめたい事実があるから。あと弟の彼女を交えての夕食が頻繁なのも気が重いから。近すぎると、話しづらいことも腹割って話さなきゃならないのが苦痛。この街を飛び出しても、何ら未練がないことに少し罪悪感を感じつつも、「やっぱりあの場所に帰りたい。」という本音を真剣に話さなきゃいけない。