小宇宙

cafeparadise2008-04-29


うわついて夢のようだった桜の季節が終わると、地に足ついた緑の季節だな。年に二回、新緑の時期と紅葉の時期に地元の石油王の邸に行く。(知り合いでもなんでもないが…)石油王というと、豪奢できらびやかなイメージがつくが、ここは決してそんなことはない。静寂と気品を第一に据えて、粋の限りをつくした和風建築と庭園はさながら京の都のかくれ里のよう。三代続いた長者の蒐集した美術品を展示している。名品とうたわれる皿や茶碗に囲まれ、縁側から庭園を見渡す時間っていったら、もう贅ですわ。贅。阿呆みたいに口が開き、楓の葉の間から降り注ぐ陽光。
今回はペルシャの壺やタイルがヒット。壺の先に女の顔が施してあり、行き過ぎると悪趣味かもしれないが、その一歩手前で抑えてあって、控え目な派手さが愛らしい。青い釉薬に唐草模様とか馬上の弓ひく女とか。大陸の雄大な構図。あとは日本でいったら今の季節はなんといっても黄瀬戸!柔らかく薄い、頼りない存在感がちょうどこの季節にぴたりと合致するよ。これに菜の花のおひたしとか、やまうどの味噌あえとか出したら美味しいだろうなー。酒は〆張月か八海山か。

絵画と違い、茶碗や皿というと敬遠されがちなのか?休日なのに若人の来館者は私だけ。たまに壺や器の話をすると、高尚な趣味ですねーと言われるが、趣味に俗も雅もあるかってんだ。面白いのになー。むー、いやいやそれが押し付けがましいのか…。でもね以前、ためしてガッテンで、展示品のうちどれか一つ買う(貰う)としたら、どれにするかという視点で見ると飽きずに楽しめるということをやってた。一度やってみる価値はあると思います。