紙吹雪

夜中に祖父がトイレで倒れた。一昨年から肺気腫を患い、酸素ボンベの管を巻きつけて生活している。トイレ内で足を滑らせたのか、気を失い倒れていた。異変に気づいた祖母が大声で私を呼び、何とか事なきを得たのだけれど、何度祖父に呼びかけても返事がなくて、頭の中が真っ白になった。震えが止まらなかった。布団に入って涙が出た。
祖父は寝間の簡易トイレではなく、わざわざ暗くて長い廊下をつたって用を足そうとしていた。下の世話を妻にさせることへの申し訳なさとか、まだまだ自分は気丈でいるのだという孫の私へのプライドとか、祖父なりの葛藤があるのだと思う。人に迷惑かけられない、この私の性格は確実に祖父から引き継いでいると思うのだけど、じいちゃん、人に頼ることは迷惑じゃないよ。そういうこと全部汲み取って生活していかなくちゃいけない。