あの歌を聞いても、心が折れなくなった。前へ前へ進んでいる。でもやっぱり忘れるのは悲しくもあって、自分はこれほどまで薄情者なのかと問い、ぽかりとできた空洞に昔の姿を覗き見る。何年か分がしゅわわーっと溶けて、そう溶けて蒸発したみたいに。繰り返し繰り返し、波打つ沈降に「今度は絶対大丈夫」という太鼓判を押す。
ここ以外どこにもいけない、という呪縛からようやく解き放たれた。軽やかに駆け抜ける、私の足には羽根のついた絹のシューズ。リボンは草原を縫って、シロツメクサをひとつに結ぶ。
今年はいつ春になるかな。春になったら、サニーデイを聴きながら、紅茶を飲んで、恋をする。